#27 石原さとみさんが私の性格を好きになる確率 59.43%

だいぶ前の話になる。

 

「エムグラム診断」をご存知だろうか。

 

知っている方からすれば「今さら?」という性格診断。私も以前から存在は知っていたが、やったことがなかったのでやってみた。以下、私の結果である。まずは私を構成する8性格から。

 

#かなり繊細

#本質をすぐに捉える

#堅実主義

#協調性が高い

#一匹狼

#結構優しい

#石橋を叩きまくって渡る

#新しいものが好き

 

 

 次に私の才能を最も端的に表す8原石。

 

#アーティスト

切れ者

#優れた観察眼

#包容力

#ぼっち力

#いつくしみ

#安全運転

#有言実行

 

 

 このエムグラム診断、かなり質問が多いので(50問以上だったかな?)興味のある方は余裕があるときにやったほうがいいかもしれない。とりあえず疲れた。

 

だが改めて結果を見てみると面白い。私の8性格なんかほぼ合っている。私がどんな人間かを説明するときに、この8つを提示すれば分かってもらえるのではないだろうか。

 

特に「協調性が高い」の後の、「一匹狼」が笑えますね。どっちなんですかね、この男は。組織に向いているんだか向いていないのか。

 

「いいか、大事なのはパーフェクトハーモニーだ」

 

「さすが乾さん!俺、一生ついて行きます!」

 

「おいおい。そんなこと言われた日にゃぁ、連れションだ!」

 

「はい!」

 

ジョォォォォォォ・・・・・・。

 

ンジョォォォォォ・・・・・・。

 

「俺、乾さんのパーフェクトハーモニー、嫌いじゃないっす!」

 

「・・・・・・」

 

「乾さん?」

 

「パーフェクトもハーモニーも無いんだよ。どうせ俺なんか」

 

「え・・・・・・。乾さん、どうしたんですか!」

 

「血尿が出てる」

 

「え?あ!本当だ!乾さん大丈夫ですか!わっ!うゎっ!乾さん、出しながらこっち向いたら僕に引っかかって・・・・・・。うわぁぁあ」

 

「決着ぅぅぅぅぅぅ!」

 

 

と、地獄兄弟の矢車さんみたいな男ってことですよね。面倒臭いやつですなぁ。

 

 

 あとは私の才能を最も端的に表した8原石。これは半分ピンときて、半分しっくりこない感じですかね。しっぽりですかね。どっちでもいいですね。

 

 

安全運転て。

 

 

これ才能かよ、という感じ。私の運転は結構危なっかしいと言われることが多いんだけどなぁ。

 

それと、またもや「包容力」の後の「ぼっち力」。だからどっちなんだよ、と。

 

 

「お疲れマ〜キノ!」

 

「んもぅ!乾ちゃんたら!アタシの苗字はお・お・き!」

 

「ハハッ!メンゴメンゴ!ねぇ、今日の夕飯なに?」

 

「今日はねぇ、乾ちゃんの好きな麻婆豆腐よ」

 

「・・・・・・」

 

「乾ちゃんどうしたの?麻婆豆腐は嫌だった?」

 

「今の俺に、豆腐は眩しすぎる」

 

「え?ちょっと何言ってるか意味分かんない。ねぇ、顔舐めないでよ。ちょっと!」

 

「この味は、ウソをついている味だぜ。マキノ・・・・・・!」

 

「だからオオキだっつってんだろ!レロレロ舐めてくるんじゃねぇ!」

 

「決着ぅぅぅぅぅぅ!」

 

 

と、これまた地獄兄弟の矢車さんみたいな男ってことですよね。面倒臭いよ、本当。

 

 

ところで。

 

私がこのエムグラム診断をおこなった時に、ちょうどホリプロとのコラボ企画で、石原さとみさんが私の性格を好きになる確率というものが出てきた。石原さんもいいが、私としては 多部未華子ちゃんがよかった。多部ちゃんだったらどれほどハイテンションになっていたことか。

 

「59%!?いけるやん!ワンチャンあるやん!」

 

そこから三日三晩、ワンチャン祭りである。

 

ワンチャン!ワンチャン!タベチャン!ワンチャン!キテルヨタベチャン!

 

ホッ!ハッ!と、多部ちゃんに捧げる踊り、通称「多部舞」で両腕はポパイのように腫れ上がり、「魔女の宅急便」で

 

「私このパイ嫌いなのよねぇ」

 

と、言ったあの女をぶっ飛ばせるくらいの筋力を手に入れたのだ。そう、「多部舞」で。

 

 

つまり、何が言いたいのかというと、エムグラム診断は面白いからやってみてよ、ホッ!ハッ!である。

 

 

それでは、また次回お会いしましょう。

 

 

 

 

 

#26 あの頃、私にとってガンダムとはSDガンダムだった。

燃え上がれ

 

燃え上がれ

 

燃え上がれ

 

 

フンフフン♪

 

どうも、イヌイです。みなさん夏真っ盛り、いかがお過ごし?

 

 

今日の話はガンダムです。

 

私が小さい頃、実家にはガンダムのプラモデル(以下ガンプラ)がたくさんあった。ガンプラというと、あの八頭身のすらっとスタイリッシュな造形を思い浮かべる方が多いだろう。しかし、私の実家にあったガンプラのほとんどはSDガンダムであった。SDガンダムってご存知?

 

簡単に言えば、八頭身のガンダムを二頭身にした、可愛らしいガンプラである。八頭身のガンプラにはない個性的なデザインが多かった。(ような気がする)八頭身のガンプラを二頭身化したガンプラもあったが、それとはまた別に「武者ガンダム」と呼ばれるシリーズもあり、私はそれが好きだった。ガンダムが兜を被り、羽織を纏い、刀を持っている。小さい男の子心をくすぐるガンプラであった。

 

小学生だった当時、私の実家の近くに住む同級生数名と「ガンプラで遊ぼう」という話になった。私の同級生の一人に、プラモデルをたくさん持っており、ミニ四駆もあり、ミニ四駆のコースもあり、はたまたスーファミも持っている羨ましい家庭の子がいた。一方、私の家は「テレビゲームは絶対ダメ」と全くテレビゲームに触れることのない、当時男の子の家としては珍しい家庭であった。なんせどの子の家に遊びに行ってもテレビゲームありましたからね。そのような教育のもと育ってきたので、私としては「テレビゲームは友達の家でするもの」が当たり前で、家ではもっぱらガンプラやレゴブロック、カラーモール(針金)で人形を作って遊んでいた。

 

 

「イヌイ、ガンプラ持ってる?」

 

そう聞かれた私は、堂々と言った。

 

「持っている」

 

負けたくなかったのだ。ミニ四駆は持っていないし、コースもないし、テレビゲームもない。VHSでスーファミがバグった時の「フ〜ッ!」と息を吹いて復活させるモノマネで己の自尊心を保っていた私。そんな私が唯一友達と張り合えるもの、それがガンプラだった。

 

意気揚々とナップサックにSDガンプラを詰め込んで友達の家に出かけた。ここまで話しておいてなんだが、このSDガンプラは私のものではなく兄のものであった。もう時効ってことでいいですよね?

 

 さて、友達の家に到着した私。友達が「じゃ、遊ぼうぜ」と言って、押入れのふすまをスゥ〜っと開けた。するとそこには所狭しとたくさんのガンプラたちがいたのだ。

 

「おぉ・・・・・・!」

 

と、感嘆したのも束の間、おかしいことに気づいた。

 

 

ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ、いつ、むぅ、なぁ。

 

 

私の持っているガンプラと関節の数が違う。私のガンプラは、ひぃ、ふぅ、みぃ。ひふみで終わってしまう。ガンプラ界の「ひふみん」だ。

 

他の友達も「どれっ」とガンプラを取り出す。

 

やはり私の持っているガンプラと関節の数が違う。「おりゃ〜」と声を上げ、関節をグニグニしながら格好いいポージングをぶちかます友達。おいおい、ちょっと待ってくれよ。俺のガンプラはそんなに股関節曲がらねぇぜ?(むしろ股関節がないぜ?)

 

 

「イヌイも持ってきたんだろ?」

 

友達の問いかけにドキッとする私。

 

「お、おう・・・・・・」

 

ナップサックの中にゴロゴロといる二頭身のSDガンプラたち。

 

 

ガンプラってこれじゃなかったのかよ」

 

 私にとってガンプラSDガンダムだった。ところが、どうだ。目の前にある友達のガンプラは兜を被っていなければ、羽織もない。刀だって持っていないじゃないか。え?なんだそのゴツい筒は。そんなものでどうやって戦うというのだね?ん?ミサイルが出る?ふ〜ん。ほぅ。(刀折れるやん・・・・・・)

 

 

負けた。完膚なきまでに。だってあのガンプラ半端ないって。関節があり得ない方向にグニグニ曲がるもん。普通できひんやん、そんなの。ワイのガンプラ、足首バタバタいうだけやん。こんな勝てへんって。あと、ワイのガンプラやないし。兄ちゃんのや。ワイのじゃない。ワイのガンプラか?ワイのガンプラはキングピラミッダーや。お菓子のオマケやで。お前らとは違う。ピラミッドからロボットに変形するんや。友達と遊べて、歴史も学べる。すごいやろ?なぁ、すごいやろ・・・・・・。

 

 

 

実はこの後の記憶が曖昧なのだ。友達に問いかけられてSDガンダムを出して遊んだのかどうかが思い出せない。記憶にノイズがかかっているのだ。記憶障害を起こすほどショックだったのだろう。全く思い出せないが、たぶん出していないと思う。

 

 

友達の前で堂々と出すことはできなかったと思うが、SDガンダムは好きだ。今でも売っているだろうか。新作とか出ているんですかね?機会があれば作ってみたいですね。(その時は堂々と俺のSDだ、と自慢できる)

 

 

 

今週から夏休みに入ったキッズが多いことだろう。そんなキッズたちに一言伝えて、今日は終わりにしたい。

 

 

人のものを借りる時は、一言断ろう。

 

 

 

#25 セブンイレブンキャンペーン、見事に落選する。

一昨日のことだ。

 

メールにセブンイレブンから一通連絡が来た。

 

「この度は、新セブンイレブンアプリ事前登録キャンペーンにご参加いただき、ありがとうございます。厳正なる抽選の結果、落選となりましたのでお知らせいたします。以下の通り、100円分のnanacoギフトをお送りいたします」

 

・・・・・・。

 

 

ザメハ!!

はてなブログに相応しくない言葉が使われたため、汚い部分だけ切り取りました)

 

私がどれだけセブンイレブンに金をつぎ込んできたのか・・・・・・本部の方々は分かってらっしゃらないようだ。来る日も来る日もななチキ、揚げ鶏、ななチキ、揚げ鶏、チョコビ、ななチキ・・・・・・。ななチキと揚げ鶏で世界オセロ大会が開催できるくらい消費してきましたよ。焦げ具合も色合いも似てるから勝ってるか負けてるか分かんねぇっつぅの!!

 

 私が参加したこのキャンペーンは、決められた期間中に新セブンイレブンアプリに事前登録すると抽選で一万名の方々に千円分のnanacoギフトが当たるというものだ。しかも外れても百円もらえる、どっちみち美味しいキャンペーンである。別名「餅のない建前」だ!

 

 いやぁ〜〜、まぁ全然期待していなかったけどね!一万名だけだからさ!万だからね!もしかしたらいけるかなってね!万?余裕っしょ!てね!

 

あ〜千円欲しかった!

(先生!ここにクズがいます!)

(おい乾、後で職員室に来い)

 

 

 ところで話は変わりますが、この新しくなったセブンイレブンアプリのホーム画面に「会員コード」というボタンがある。

 

このアプリには「バッジ」というシステムが導入されている。セブンイレブンで商品を購入した際、レジ精算前に「会員コード画面」を提示すると購入した商品のカテゴリーごとにバッジが加算される。このバッジを貯めていくとバッジがランクアップし、様々な特典が得られるのだ。あ〜、説明するのが面倒臭いな、このシステム。

 

んで、何が面白かったかというと、この「会員コード画面」である。押すときは部屋を明るくして画面から離れて見てください。この画面、ものすごい輝度なので。私は夜に寝ながらアプリをイジっていたので、この画面を見たときはもう、びっくりぽんでしたよ。

 

「ん?この会員コードって何だろ」

 

ポチ。

 

カッ!

 

「・・・!目がっ!」

 

目がっ!目が目がカラオケ目がっ!布団の中でのたうちまわる、一人ムスカ状態。小一時間、目を開けられなかった。

 

 これ部屋が明るくてもめっちゃ眩しいですからね。本部はどれだけ不安だったのだろう。

 

「レジでバーコードが読み込めないとクレームがくるな。せやっ!画面の輝度あげたろ!」

 

あげ過ぎだろ。眼球潰れるかと思ったぞ。もう絶対文句は言わせないよ?という本部の執念を感じますね、この輝度から。

 

私の持っているスマートフォンiphoneなので、アンドロイドはどうなるか分からないが、たぶん同じ現象が起きると思う。まぁ、セブンイレブンをよく利用する方には便利なアプリだと思うので、興味があればインストールしてみてください。

 

ただし、会員ボタンを押すときは薄目で。

 

 

 

 

#24 踊る赤信号

約三、四年前の話になるが、「踊る赤信号」というのをご存知だろうか。

 

メルセデス・ベンツの「Smart」がキャンペーンの一環として行った企画で、歩行者の横断歩道無視を防止する画期的なアイデアだった。

 

すでに知っている人の方が多いと思う。(なんせ大分前の話なので)だが、私は「踊る赤信号」をつい最近知ったのだ。その衝撃たるや、頭の先から爪の先までとはいわない第一関節のあたりまで電撃が走り、その電撃は私の脳髄を刺激するや否や奥歯にわずかに残ったクリニカ(フレッシュミント味)を亜音速で振動させることによって私の歯磨きでは起こり得なかった究極のホワイトニングが奥歯だけに発生し、どうせだったら全ての歯間のミクロサイズ食べ残しを落とすべく歯を食いしばった私は、両腕をクロスさせ叫んだ。「ワカンダ、フォーエバー」と・・・・・・。

 

 

話戻しますね。

 

 「踊る赤信号」の内容を知らない方に丁寧に説明しよう。

 

要は、止まっている赤信号のシルエットが踊り出し、歩行者の目を引きつけることによって歩行者の横断歩道無視を未然に防ぐという素晴らしいアイデアなのだ。

 

終わっちゃった。私の闇に埋もれた語彙力のせいで、「丁寧に」説明することなく終わってしまった。「丁寧に」って言っているのに、その後「要は」ってもう面倒くさがっているじゃないか。いかんいかん。もっと掘り下げよう。

 

その踊るシルエットは事前にプログラミングされているものではない。近くにダンスブースがあり、その中に入っている人が踊ることでリアルタイムダンスバトルが繰り広げられるのだ。

 

「YO、そこの君、ゲームは好きかい?今猛烈に流行りの荒◯行◯」

 

「撃って殴って奪って勝ち取る、可能性無限大のサバイバルゲーム!」

 

彼らの魂の踊りが、赤いシルエットに変わる。波打つ鼓動、流れる脈動。踊る赤光が歩行者の足を止め、彼らの原始的な何かを呼び覚ます。

 

「ウッ、ホッホ」

 

「ウホッホ」

 

「ウッ、ホッホ」

 

「ウッ、ホッホ」

 

「ウホッホ」

 

「ウッホー」

 

偉大なるゴリラのお出ましだ。

 

客待ちのタクシー運転手が不安げな表情で見守る中、ゴリラたちは踊り続ける。「青に変わったら、どうなるんだ」と、人々は息を呑む。ゴリラたちの刻むビートが、強くなる。地が揺れ、木々はしなり、ウイスキーを片手にホームレスが新聞紙にくるまる。

 

ウイスキーがお好きでしょ?」

 

「ビール〜」

 

「もう少し喋りましょ?」

 

「ビール〜」

 

その時だった。

 

赤い光の点滅が、フッと消える。

 

 

テレレ〜レ〜レ〜、テレレ〜レ〜レ〜、テレレレ〜♪

ジュラシックワールドのテーマ曲)

 

 

ゴリラたちは一斉に駆け出す。雄叫びとも悲鳴にも聞こえるその何かは、人々を混乱させた。後にハチ公前の魔導師がこう言い残している。

 

「産声じゃ。あの時、渋谷の交差点は産声をあげたのじゃ」

 

親戚一同から譲り受けた菜箸をシャカシャカ鳴らしながら、魔導師は叫び続けた。

 

ジュラ紀じゃ!ジュラ紀の再来じゃ!はぁ〜、まどいたまえ〜、まどいたまえ〜」

 

 口臭に多少の酒臭さを残しつつ、魔導師は叫び続ける。私は魔導師の足元に置いていあるビスコ缶にそっと十円玉を入れ、魔導師の元を去った。

 

 

六月も終わり、七月に入った。

 

汗ばむ陽気が、首筋の汗疹を痒くさせる。鞄からハンカチを取り出し、赤い皮膚にそっとあてる。空を見上げると、そこには横断歩道の信号機があった。

 

「踊る赤信号か。いいアイデアじゃないか」

 

信号が赤から青に変わる。

 

私はハンカチを頭の上に乗せ、熱帯と化した渋谷の交差点を後にした。

 

 

 

 

#23 えびはマスト

先日、弟が学校で献血をしてきた。

 

学校によく来ますよね、献血カー。若い血が欲しいのでしょう。昔、父が献血に行って来た時に、

 

「卵1パックもらったぞ〜!ガハハ!」

 

と自信満々に帰って来たことを今でも覚えている。献血をすると色々ともらえるのだ。

 

弟も献血をしてお菓子をもらって来た。ブルボンのプチシリーズ。

 

「こちらからえび味が1つと、あとお好きな味を2つお持ち帰りください」

 

と、言われてもらってきたらしい。

 

 

弟はふと、献血カーの前に置いてある立て看板を見た。

 

 

「お好きなお菓子を3つ選んでください」

 

しかし、お姉さんには

 

「えび味が1つとお好きな味2つ」

 

と言われた。

 

 

 

 

 

なんでだ。

 

 

「お好きな味3つ」って書いてあるじゃないか。

 

弟曰く、えび味が大量に余っていたらしい。

 

焦ったのだろう。このままでは

 

 

「お好きなえび味3つお選びください」

 

 

になってしまうのではないのか、と。

 

えび味をなんとか消費しなければならない。だったらお好きな味3つにねじ込めばいいじゃない。えび、好きでしょ?アントワネットもびっくりの、

 

「チョコ味がなければ、えび味を食べればいいじゃなぁ〜い」

 

である。えびをゴリ押ししてくる献血カーも珍しい。

 

 

 

弟は素直で良い子だ。

 

お好きな味3つに、ちゃんとえび味を差し込んできたのだから。

 

私だったらしない。だって「お好きな味3つ」って書いてあるから。もし、えび味を選ばずに持って帰ろうとしたらどうなっていたのだろう。献血カーから慌てて係員の方が出てくる。

 

 

「ちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょお客様!どう!どうどう!」

 

「馬房ですか、ここは。どうしたのですか」

 

「お客様。大変恐縮なのですが、えび味を1つ選んでいただくと助かります」

 

「でもこちらの看板にはお好きな味3つと書いてあります」

 

キュゥ〜〜、キュッ!(油性マジックで修正する音)

 

「えび味が1つ・・・と」

 

「ちょっとちょっと係員のお兄さん、僕えびは選びませんよ」

 

「え?ここにえび味1つと書いてありますよ?」

 

「これが心の大外刈りですか。すごい手の平返しですね」

 

「まぁまぁ!そうおっしゃらずに!えびもクセになりますよ」

 

「血を抜いたあとにえびがクセになるの嫌なんですけど」

 

「ひとりは・・・」

 

「・・・・・・」

 

「みんなのために。みんなは・・・?」

 

「・・・・・・」

 

「ひとりのために!ね?」

 

「え、どうしよう。購買部で鈍器売ってたかな」

 

「ちょちょちょちょお客様!怖いこと言わないでくださいよ!」

 

「いや物理的に血を抜いてもらいたいのかな、と思って」

 

「そ、そうだ!こうしましょう。えびを1つ選んでいただくかわりに、3つ好きな味を選んでいただいて構いません!どうでしょう?」

 

「いや、それだと他の方に不公平じゃないですか」

 

「お客様だけ!内緒で特別ですよ!」

 

「僕は構いませんけど、さらにえび率が高くなりますよ?」

 

「大丈夫です!後でなんとかしますから!」

 

(なんともならないぐらい、えびばかりだが・・・)

 

「じゃあ、お言葉に甘えてえびと・・・あとは、チョコと」

 

「あっ」

 

「ん?」

 

「いや、チョコは・・・」

 

「チョコが何です?」

 

「チョコは・・・今日天気良いし・・・・・・」

 

「チョコと天気の良さに何か関係ありますか?」

 

「溶けるんじゃないかなぁ。チョコは」

 

「大丈夫ですよ、すぐ食べるんで」

 

「いや血糖値とか上がると大変じゃないですか」

 

「友達と分けるので大丈夫です」

 

「友達の血糖値が心配だなぁ」

 

「友達数人で食べますから」

 

「全員心配だ」

 

「え、このお菓子そんなに砂糖入ってます?」

 

「チョコなんで」

 

「普通のチョコの方が砂糖入ってますよ、多分」

 

「血を抜いた後はチョコはおすすめできませんね」

 

「じゃあここにチョコ置いちゃダメじゃないですか」

 

「お、おっしゃる通り!チョコ回収しますね!するとあとは・・・青のり味とごま味とえび味ですね。いやぁ〜今日はえびが大量だなぁ!あ、お客様どこに行かれるんですか?まだえび余ってますよ。お客様!そっちは購買部ですよ、お客様〜〜〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなも献血に行こう。

 

 

 

#22 優先席は君のためにある

私の隣は空いている。

 

私の目の前に座っている男は韓国海苔をパリパリと食べている。その隣に座っているブルーノ・マーズを意識した男は、iPhoneで音楽を聴いている。

 

私の隣は空いている。

 

 

プラスチック板を挟んですぐ左にいる少年は、松葉杖を突いていた。

 

優先席はまばらだが、空いている。

 

 

 

なぜ、座らない。

 

私は二人掛けのシートに座っている。

 

何度でも言うが、私の隣は空いている。

 

プライドの高い男は嫌われるぞ。

 

何度でも言う。まばらだが、優先席も空いている。

 

君のために空いている。

 

なぜ、座らない。

 

 

 

今日は最悪だったんだ。

 

シリーズものの映画を観た。前作を観なくても大丈夫。その言葉を信じて観た。

 

初っ端から話が分からない。知らないキャラばかりが出る。味方が一人、また一人。私の海馬はもう限界。

 

最後は悲惨であった。

 

ポカンと開いた口がふさがらない。そんな最後であった。

 

落ち込んだ気分を取り返そうと、駅ビルの本屋で小説を衝動買いした。

 

電車の待ち時間。ひたすら読んだ。

 

面白い。

 

これは電車に乗っている間も楽しめる。そう思いながら座席で読み始めた時、君が現れた。

 

 

 

「発車まで、あと五分ほどお待ちください」

 

車内アナウンスが流れる。

 

松葉杖を突いた少年は少女と喋っている。

 

ははん。

 

わかったぞ。

 

好きなんだな、その子が。

 

その子と喋りたいから、我慢して立っているんだな。

 

そんな君を、彼女はかっこいいと思っているだろうか。

 

わからない。心の内が。

 

一つだけわかっているのは、少女が少年と喋るのをやめて、友達と喋り始めてしまったことだけ。

 

フラれているじゃないか。

 

私の隣は空いている。

 

 

 

体がわずかに揺れる。

 

車窓から見える景色が、少しずつ、流れていく。

 

少年の体も揺れる。私より。

 

優先席はすべて埋まってしまった。

 

だから言ったじゃないか。私の隣は空いている、と。

 

心の中で。

 

あの子は君を見向きもしない。

 

一所懸命立っている君を。

 

そうでもなかった。ドアに寄りかかっていた。

 

やるな。その手があったな。

 

私もよく使うんだ、その手は。でも、今日は座っている。集中して小説を読みたかったから。

 

君のせいであまり集中できていないが。

 

 

 

ふと、少女が私の前に来る。

 

身構える。膝が震えた。

 

私の前を横切り、私の隣にあるボックス席に寄る。

 

友達が座っているのだろう。私の斜め前で、ボックス席に寄りかかりながら、立ち話を始めた。

 

彼女の肩にかかったピンクのナップサックが、私の膝に擦れている。

 

擦れてますよ、お嬢さん。

 

 

 

向こうから、女性の車掌が歩いてくる。

 

目が合う。

 

彼女の瞳孔が、ほんの少し、開いたように感じた。

 

私を見て、次に松葉杖の少年を見た。

 

発車してから、何分経っただろうか。

 

優先席は、今はまばらに空いている。

 

空いているんですよ、車掌さん。

 

もっと言えば、私の隣も空いている。

 

優先席は空いているんだ。

 

優先席は空いていますよ、と言わないあんたも悪い。

 

お客様に向かってお辞儀をしてからこの車両を出る律儀さがあるのなら、なぜ少年には語りかけないのか。

 

大丈夫ですか、と。

 

こいつのここ空いてますよ、と。

 

言葉づかいは多目に見よう。

 

 

 

もうすぐ私の駅に着く。

 

小説に栞を挟み、バッグにしまう。

 

私の目の前にいる韓国海苔の男は、首がだらんと下を向いている。隣のブルーノ・マーズも下を向いている。

 

この二人が降りてくれれば。そう思っていた。

 

もう韓国海苔は食べないし、ブルーノ・マーズも聴かない。今後一週間は。

 

私の隣にいる少年は、ずっと立っていた。

 

私は、もう降りる。君はどうする。

 

少年は、リュックサックを背負い直した。

 

ここか。

 

君もここなのか。奇遇だな。私もだ。

 

すまなかった。情けない大人で。

 

どこかで。誰かが。期待して、期待して。

 

何も変わらなかった。

 

君が座ろうが、座るまいが、どうでもよかったじゃないか。

 

変な空気になったら、車両を出ればいいじゃないか。

 

なんで私が?

 

プライドが高いのは私じゃないか。

 

 

 

 

ガタン。

 

夜風が、頬に吹きつける。

 

私の斜め前にいた少女も降りるようだ。

 

少年と少女が降りるのを見てから、私も降りる。

 

少年はまた少女に話しかけながら、松葉杖を突いて歩く。

 

うまくいけばいいですね、と。

 

車窓に目を向けると、スマホを見ている人が多い。

 

みんな下を向いている。

 

さあ、帰ろう。

 

前を向くと、最後尾の窓から顔を出す車窓さんと目が合う。

 

また、合いましたね。

 

少し睨めたような、寒そうな、そんな目で。

 

 

 

 

私の隣はずっと空いていた。

 

 

 

#21 大人の成人式

先ほどラジオで「2分の1成人式」というキーワードが出てきた。

 

成人式は20歳を迎える人を祝う儀式だ。2分の1成人式はその半分、10歳を迎える人を祝う儀式。この2分の1成人式の存在はつい最近知った。ウィキで調べたらこの行事はだいぶ前からあったのですね。私が小学生の時にはありませんでした。

 

 

10歳は「2分の1成人式」、20歳は「成人式」。

 

では30歳は?

 

 

10歳も、20歳もイベントがあるのに、30歳に何もないのはさみしい。あってもいいんじゃないか、30歳の成人式。

 

 

 

 

いや、すでに成人だな。

 

 

 

年齢を祝うだけでは物足りない。2分の1成人式では合唱や親への感謝の手紙、成人式では眠い式典と鏡割りとウェ〜イ。30歳の成人式では、今まで自分が挑戦してこなかったことをやってみる、というのはどうだろう。

 

 

私が挑戦してこなかった事といえば、バンジージャンプですかね。テレビで一般の方や芸能人がやるのを見るだけで、やったことはない。どうせだったら晴れ着を着てバンジージャンプをする。ついでに鏡割りもする。さらに「ウェ〜イ!」もする。

 

 

「レッツ、バンジ〜!」

 

ヒュルルルルルルルォ〜・・・

 

カッコーン!

 

 

「ウェ〜〜〜〜イ!」

 

 

ブチッ。

 

 

「あっ・・・・・・」

 

 

 

 

 

今日は地元で成人式があるそうです。新成人のみなさま、おめでとうございます。あまりハッチャけ過ぎないようにね。